【保育士と先輩ママ500人に聞く!】イヤイヤ期の上手な対応方法とは?
「2歳の子どもにイヤイヤ期がやってきました。でも、どう対応すればいいのか分からずに悩んでいます」そんな悩みを持つママとパパは多いはず。とくにはじめての育児であれば、なおさらですよね。
そこで今回は、子どもの「イヤイヤ」に対してどんな対応をすればいいのか、保育士さんや先輩ママに聞いてみました。
まずは、イヤイヤ期のメカニズムを解明しよう
イヤイヤ期に対してどんな印象がありますか?「魔の2歳児」「最初の反抗期」など、ネガティブな印象があるかもしれません。でも本来は、子どもが自立に向けて「自分の力で進もうとしている時期」なんです。モンテッソーリ教育をヒントに、その正体を探ってみましょう。
自分が「個」であることに気づく
生まれたばかりの赤ちゃんは、自分とお母さんは「一つに繋がっているんじゃないか」と感じていて、その境界線がはっきりとわからない状態です。でも、生後9カ月くらいから「あれ、自分ってお母さんとは別の存在なのかもしれない」と、気づいてきます。ハイハイができるようになる月齢でもあるので、物理的にも離れる時間ができますよね。気づきと同時に、自分のなかに「自我」も芽生えてきます。
「輪」から抜け出そうとする
でも、芽生えたばかりの「自我」をどのように扱えばいいのか、子ども自身も分かっていません。分からないながらも成長は進み、1歳~1歳半ころには歩けるようになって、一人で行動できる範囲も広くなります。お母さんと離れている時間もどんどん増えていきます。そのころから、1つだと思っていたお母さんとの「輪」から抜け出そうとするのです。
イヤイヤ期の「正体」
そして2~3歳にかけて輪の中から完全に抜け出して、お母さんとは別の「自分」を確立するようになります。この一連の流れがイヤイヤ期の「正体」であり、自我をもった「魔の2歳児」の登場でもあります。
人間として確立しよう、個を確立しようとする過程が「イヤイヤ」として表現されているのですが、ただイヤイヤと言っているわけではないんですね。
(大人の事情でそう捉えられていますが…) 芽生えた「自我」の扱い方がまだ分からないだけなんです。
分からないから、子どもは使ってみたくて仕方がない。何か言われるたびに「この自我を使ってみよう!」っていうふうに、子どもとしては一生懸命に試しながら自分で自分を確立しようとしているんですね。
「自立への第一歩」を成し遂げるエネルギー
例えば大人の私たちも、新しいことに挑戦するときってすごくエネルギーを使います。同じように子どもたちも「自分」を確立するために大きなエネルギーを使っています。
毎日「イヤイヤ」と言われるママやパパはそのエネルギーに降参したくなると思うのですが (苦笑) 子ども自身も自立への第一歩を成し遂げようしているんだと理解しながら、関わっていけるといいですね。
保育士さんに「悩み」を相談してみました
育児中のママとパパなら避けては通れないイヤイヤ期。心の準備はしていたけれど、いざやってくるとなかなか手強い…。毎日たくさんの「イヤイヤ」に向き合っている保育士さんに、今の悩みを相談してみました。
保育士:安井さん
イヤイヤ期は子どもにとって自立への第一歩だと分かっていても、やっぱりイライラしてしまいます…。
親も「どうしたらいいのか分からない」と悩んだり焦ったりしている中で子どもと向き合っていると、余計にイライラしたり、そのイライラが子どもにも伝わってさらに機嫌が悪くなるという、悪循環を起こしてしまうと思います。
保育園では、子どもが「イヤだ」と思っている気持ちを一度共感してあげて、「いやだったね、そうだよね」と私たちが言葉に出して子どもの気持ちを代弁して、「じゃあ〇〇してから今度は一緒にしようか」と声かけするようにしています。
ちなみに、〇〇のところには「ちょっと外の景色を見る」「園内を軽くお散歩」「その子の好きなキャラクターを描いてあげる」「好きな遊びを提供」など、一旦気持ちを切り替えられるような関わりをするのがポイントです。
子どもの気持ちを受けとめても、選択肢や代替案を提示しても、イヤイヤが収まらないときは収まらないです。
子どもにとって気持ちを受け止めてもらえることは、信頼関係にもつながります。気持ちを受け止めても何をしてもイヤイヤの段階であれば、すでに子ども自身が自分の「イヤだと思う気持ち」を大人に受け止めてもらった安心感と信頼性を実感済です。
なので、逆にこちら側 (ママやパパ、保育者など) が「イヤイヤ言われてばかりで悲しいな」「こっちもイヤだよ」と、相手も困って悲しい、嫌なんだと、子どもが理解できるような分かりやすい言葉で伝えてみるといいのではないでしょうか。
なかなか難しいことではありますが、しっかり目を見て言葉をかけてあげると、全ては伝わらなくとも子どもは不思議と感じ取ってくれます。
「悪い」と分かっていながら、わざとイヤイヤ言っていることがあります。
悪いと分かっているのに「イヤ」と言うのは、2歳~3歳でよくありがちです。
例えば「ママにイヤって言ったときはあんな反応だったけど、パパのときはどうだろう」と、人を見て行動したり、言動を変えてみたりする「試し行動」のパターン。あるいは「甘えたい、関わりたいけど、どうやって行動に移そうかな」と考えた末に、分かっていながらもイヤと言って「関りを求めている」パターン。子どもなりに、小さな頭の中で色々と考えた結果の「イヤイヤ」であることが多いのではないかと思います。
「わざと」言っているのであればそれは本心ではないので、子どもがわざと言ってしまう「裏側の本当の気持ちや欲求」に気づいてあげることが大事かと思います。
そして全てのことに共通するのですが、気持ちを受け止めてあげるときも、こちら側から何か提案するときも「スキンシップを取りながら」が大切だと思っています。
「イヤイヤ期」という名前からして、大人もイヤに感じると思いますが、子どもたちの中で様々な気持ちの葛藤が起こっている時期です。頭で、心で、考えたり感じとったりしながらしっかり成長している証なので、大きな心で受け止めてあげることを心掛けたいですね。
先輩ママの「イヤイヤ対応」集めました
よくあるイヤイヤに対して、みんなどう対応しているのか調査してみました。
Q1:どんなイヤイヤだった?
- 自分でやりたい、でも、できなくて怒る
- できない原因は、子ども自身で上手くできなかったり、こちらの都合でできなかったり
- 保育園に行きたがらない、着替えない
- 一人で歩きたい、手をつなぎたくない
- あまりイヤイヤと言うことはなく、自分でやりたいことがあった
Q2:いつもやっている対応策は?
- けがをするようなこと以外は、なるべく自分でやらせてあげる
- やらせてあげられない場合は、詳しく説明する
- たくさん話かける
- 安全に注意しながら、好きなだけさせてあげる
Q3:ご飯で遊んだり、水をわざとこぼしたりする
- 食事をストップする
- ムシ、もしくは悲しい顔だけしてその場を流す
- 食事で遊んではダメな理由を伝えて、片付ける
Q4:「ご飯いらない」と言って、食卓にきてくれない
- 食べたくなるまで放置!
- 好きに遊ばせておく
- 中途半端には食べさせずに、様子を見る
Q5:お風呂に入りたがらない
- 泡風呂にしたり、おもちゃで気を引く
- 「一人でお風呂に入るの寂しいな~」など、子どもに甘えたような言い方をする
Q6:「寝たくない」と言って、遊びはじめる
- 時間を決めて、一緒に遊ぶ
- 絵本を読む
- 遊ばせておくと、そのうち眠くなる
- 先に寝ちゃう
Q7:できるのに「やって」と甘える
- 応じる
- できる限りやってあげる
- 子どもと一緒にやる
- 何でできないのかを聞く
- 場合によっては、一度お手本を見せてあげる
Q8: イヤイヤ期が終わりそうな兆候は?
- 分からなかった
- 周りの子が「ちゃんとやっている」と意識しはじめるとき
Q9:ママのリフレッシュ方法
- 幼稚園に子どもを預けて、一人で好きなことをする
- 一人になる!
- ネットサーフィン
- 外食、ショッピング、睡眠
Q10: パパが登場して効果的なときって?
- パパが馬になって「お馬さんで行こう」と誘う
- パパが帰宅して5~10分間とか、食事中
- 女の子は、パパに見てもらうと上手くいく
- ママで泣き止まないとき
- ママに少し怒られたとき