胸を押さえる女性

乳腺炎(にゅうせんえん)よくある症状は?診断されたら?

ライター:白川
ライター:白川

育児中のママであれば多くの方が経験をしている乳腺炎。高熱が出て、インフルエンザのような痛みを伴う症状です。いざ、乳腺炎になったらどうすればいいの?というママの不安を佐藤先生に尋ねてみました。

佐賀大学名誉教授 佐藤珠美先生

佐賀大学名誉教授
佐藤珠美 先生

大阪大学医学系研究科保健学博士後期課程修了。福岡赤十字病院看護係長、日本赤十字九州国際看護大学大学院研究科研究科長、佐賀大学医学部看護学科生涯発達看護学講座教授などを経て2023年3月に退職。母性看護学・助産学、ウィメンズヘルスを専門とし、妊婦相談、産後腱鞘炎、産婦の膀胱ケアなどの研究に携わるほか、教授設計学を用いたe-learningの教材開発も手掛ける。乳幼児のスキンケア、寝かしつけや抱っこなど、産後の母親に向けた情報発信にも注力する。 (一般社団法人 ヘルスサポーターズイノベーション )

目次

乳腺炎 (にゅうせんえん) とは?

おっぱいをあげる女性

乳腺炎とは、圧痛、熱感、腫脹のあるくさび形をした変化が乳房にみられ、38.5℃以上の発熱、悪寒、インフルエンザのような身体の痛み (関節の痛み) および全身症状を伴うものとされています。

乳腺に起こった炎症ですが、細菌感染を伴わないものと、細菌感染を起こしたものがあります。細菌感染の有無に関わらず、乳房の緊満 (張りつめた状態) や、乳管の閉塞・つまりがあれば、発赤、疼痛、熱感がみられます。一般の方では違いがわかりにくいので、おっぱいにトラブルがみられたときに相談できる助産師を身近に持っておきましょう.

乳腺炎の原因

乳腺炎になる過程は、最初に乳管がつまり、非感染性乳腺炎 (乳汁うっ滞) 、感染性乳腺炎、そして膿瘍 (乳腺に膿がたまった状態) と変化していきます。予防と悪化を防ぐことが大事です。

乳腺炎になったらどうすればいい?

胸を押さえる女性

授乳中であればいつでも起こる可能性があります。特に、産後2 ~ 3 週間目に最も起こりやすく、大多数は6週間以内に起こっています。母親の1~3人に1人程度にみられるため、乳腺炎を経験したママは多いかもしれません。

乳房に「しこり」ができたら、助産師に相談

乳房にしこりができたら、助産師に相談しましょう。その際に自己管理について教えてくださいます。感染があれば、抗菌薬を内服する必要があるので、産科を受診してください。

産科受診のサインは?

乳腺炎症状がみられて24時間、十分に授乳や搾乳をしても症状の改善が見られない (乳房の炎症だけでなく、38度を超える発熱、悪寒、頭痛、関節痛など) 場合には、受診を検討してください。夕方や夜間に向けて悪化することもあるため、早めの相談をお勧めします。

授乳しても大丈夫?

乳腺炎になったとしても直接おっぱいを飲ませることができ、安全性についても多くの研究で保障されています。授乳を続けることはママの回復にも赤ちゃんの健康にも重要です。

よい栄養バランスが回復のカギ!

感染が起こったときに母親の栄養に偏りがあると、なかなか治りません。日ごろから栄養バランスを考えた食事をとり、ご自身の健康管理にも気を使ってください。

乳腺炎の予防方法

基本は、適切な授乳方法です。含ませ方、授乳姿勢が主な予防方法になっています。もし気になることがあれば、一人で思い悩むより、助産師に気軽に相談してみましょう。身体も心も軽くなり、安心して母乳育児を続けられるように、産後ケアを上手に活用してみてください。

  1. 赤ちゃんの要求に応じた頻回授乳 (10~12回) が基本です。授乳時間があきすぎる時は、乳腺炎を起すリスクが高くなりますので、注意してください。
  2. 乳房の張りすぎた場合の搾乳や乳管のつまりへの自己対処法を助産師に教えてもらってください。
  3. 日ごろから、授乳前後にしこり、痛み、発赤などがないか乳房を自分で観察しましょう。
  4. うっ滞に気づいたら、休息し、授乳回数を増やします。 (身体は休むけれど、おっぱいは休ませません) 赤ちゃんが乳首を含む方向を変えたり、授乳前に乳房を温めたり、しこりから乳頭に向かって搾乳をするなどして、過剰にたまった乳汁を取り除きましょう。
  5. 赤ちゃんの泣きに、授乳で対処することはやめましょう。
  6. 手指や搾乳器は清潔をこころがけましょう。
  7. もしかしたら、ブラジャーや衣服がきつすぎるかもしれません。
  8. 最後に、昔は脂っぽい食事や甘いものが乳腺炎の原因だと言われてきましたが、現在では特定の食品の制限をしても乳腺炎の発症を予防できる根拠がないことが報告されています。栄養の偏りはよくありませんが、おやつや食事も楽しみ、ゆとりをもつことも大切です。
LINEで500円オフクーポンプレゼント